WEB制作
CMSは何を選ぶか?
CMSは今では、WEBサイト構築の標準手段になりました。ふと振り返ると、逆にCMSを使わない、いわゆる静的なWEBサイトでの構築は弊社のプロジェクトでもほとんどありません。(ランディングページや期間限定のキャンペーンサイトなどは別として)
CMSの種類も数十種類以上の選択肢があり、導入する側としては、どれが自社のサイトに適しているかの選定に迷う場面も多いのかと思います。
この記事では、日本国内での中小規模のサイトでは圧倒的に導入数が多いであろう、代表的なCMSであるMovable TypeとWordPressについて比較しながら、現実的な視点からCMSを考察します。
CMSのメリット
共通化
CMSは共通化が容易である点が最大のメリットであると言えます。例えば、100ページのサイトであっても、立ち上げ時の初期に設定しておくことで全ページ共通のナビゲーションやパーツなどを、1回のオペレーションで適用しているすべてのページに反映できるような点です。CMSを導入していない場合は、100ページの修正が必要になります。
運用・更新のしやすさ
CMSを導入していない場合は、Webページを1文字修正する際にも、HTMLソースを編集して、サーバにアップするという手間がかかりますが、CMSを導入している場合は、管理画面にログインして該当箇所をHTMLソースを編集することなく修正し公開ボタンを押すだけです。
新規で記事ページを公開したい場合も、タイトルや記事をテキストエディタにタイピングする感覚で記入していく作業となりますので、サーバにアップロードするような手間や専門知識は必要ありません。
そのため、公開期間が短いキャンペーンページのような一過性のWebサイトではなく、継続的に記事を公開していくような運用型のサイトや更新頻度が高いサイトの場合は必須で導入すべきであると言えます。
CMSを導入するには
運用面での効率化にその効果を発揮するCMSですが、初期の立ち上げについては下記のような手順と検討が必要です。
CMSのインストール
CMSを利用するためには、サーバにCMSツールをインストールする必要があります。昨今のレンタルサーバでは簡単インストールなどの機能がありますので、マニュアルの手順に則ってインストールをすることができます。
デザイン
デザインについては、WorPressなどは無数のデザインサンプル(デザインテンプレート)から選ぶことができ、簡単に適用することが可能です。オリジナルのデザインを適用することも可能ですが、その際にはWeb制作会社などの専門的スキルが必要になります。
代表的なCMSツール
様々なCMSツールがありますが、代表的なところではMovable TypeとWordPressが挙げられます。
Movable Type(シックス・アパート株式会社)
- 価格:有料
- インストール型
- サポートあり
- アップデート難易度:専門家対応必要
国産CMSとして、問い合わせ先がありサポートも厚い点が、利用していて、まず安心感があります。
MTタグという専用のタグを利用する必要があるなど、構築に関しては、WEB制作会社などの専門会社が必要ですが、このタグを利用することによりPHPやSQLなどのプログラムを直接記述する必要がないためセキュリティ面は高く安定稼働につながります。
バージョンアップやセキュリティアップデートの際は、該当ファイルをごそっとサーバサイドで入れ替える必要があるなど、難易度は高くなります。
Movable Type.net(シックス・アパート株式会社)
- 価格:有料
- SaaS型
- サポートあり
- アップデート難易度:自動更新のため不要
Movable TypeのSaas版。サーバと一体化しているため、バージョンアップやセキュリティアップデートはシックスアパート側で行い、運用側で気を遣う必要がありません。これだけでも、何かとセキュリティ面が気になるCMSとしては優れものであると言えます。このサーバ一体型である点がMovable Type.netの最大のメリットあるとも言えます。
さらにデザインテンプレートも用途別に準備されており適用も簡単にできるため、細かいところはあまり気にせず、手っ取り早くサイトを立ち上げたいという場合は、WEB構築の知識が無い方でもサイト構築が容易にできます。
また、続々と新機能の追加やバージョンアップがされているため、今後はこちらが主力になっていくだろうと予感させます。CMS利用料とサーバ利用料を含んだ価格体系であるため割安感もあります。
WordPress(オープンソース)
- 価格:無料
- インストール型
- サポートなし
- アップデート難易度:ボタン一つで簡単だが、不測の事象が発生する可能性あり
中小規模のサイトではスタンダードともいえるオープンソースCMS。提案する側も利用する側も「無料ですから」という殺し文句で採用するパターンも多いのではないかと思います。
オープンソースであるため、機能追加はプラグインを適用するだけで実現できるなど、インストール型のCMSでは手軽感は一番とも言えます。またデザインテンプレートは星の数ほど提供されているため、こちらも手早くサイト構築するための機能が揃っています。
当然ながらサーバの準備は別途必要ですが、多くのサーバ会社で、WordPressを簡単にインストールできる機能が標準装備されているため、サーバを契約すると、もれなく付いてくるCMSとも言えます。
一方でオープンソースであるがためのデメリットも、利用にあたっては把握しておく必要があります。
・公式なお問い合わせ先はない
・バージョンアップ、プラングイン利用は自己責任
・セキュリティ保持のための対策をしておく必要がある
といったことです。
公式なお問い合わせ先はない
オープンソースなので当然ですが、何かの際の問い合わせ先はありません。WordPressに慣れている(トライ&エラーの経験がある)制作会社に問い合わせる必要があります。
バージョンアップ、プラングイン利用は自己責任
WordPressは不定期にバージョンアップを行いますが、安易にバージョンアップすると新しいバージョンに対応していないプラグインが動作しなくなったり、予期せぬ事象が起きる場合があるため、非常に気を遣います。
これはバージョンアップしてみないと分からないというコワさがあるため、もしバージョンアップの際は、その後、即時全体検証を行い、万一の際は改修や、最悪もとに戻す・・・という必要があり労力がかかります。
プラグインも、世界のだれかが開発したプログラムですので、利用した結果どのような事象が発生するかは予期できません。そのプラグインの口コミと、どれくらいのWordPressにインストールされているかの数は公開されているため、その多さを信用のバロメーターにすることとなります。
セキュリティ保持のための対策をしておく必要がある
WordPressは、セキュリティが弱いということが、よく聞かれますが、これもオープンソースですべてのプログラムコードが公開されているため、悪さもしやすいということになります。
そのため、もう少し正確に言うと、何も対策をしなければ弱いということです。対策手法は多々ありますので、それをきっちり実行しているかどうかが鍵となります。これは一例ですが、ID、パスワードを入力してログインする管理画面にアクセスする前に、さらにBasic認証をかけておく、といったことです。
結論
結論としては、現状、中小規模の新規サイト構築の場合は、サーバサイドに気を遣う必要がないMovable Type.netが有力であるといえます。サーバサイドやセキュリティ面は、専門知識が必要な場面がでてくるなど、外注コストもかかりますので、それが一切なくなるということは構築の際の負担も軽減し、大きなメリットであると言えます。
WordPressは無料で使うことができますが、新規で立ち上げる際には、様々な設定やプラグイン導入も必要であり、継続して運用していくためには、セキュリティ面のケアや、WordPress自体のアップデート、プラグインのアップデートが必要になってくるため実は難易度は高めであると個人的には考えます。ただしWebで実現できることや管理画面のカスタマイズなどオープンソースであるがゆえに、自由度は一番高いCMSであることは間違いありません。